10月12日

今日は祖父が崩御された日だからね。 父が言った。 父にとって祖父は国王だったのか。なるほど一家の大黒柱とはかように素晴らしい存在なのか。いや、もしかしたら父は崩御の意味すら分かっていなくて、死という文字をできるだけかっこよく娘に伝えたかった…

かにかに島にも新年

楽しいこと嬉しいこと辛いこと悲しいこと惨めなこと全部持って帰って皆に話したり海に流したりしていた私の逃げ場所、かにかに島。 かにかに島にも新年が来た。 喪中なので皆でおめでとうはできなかったが、皆良かったねって言ってくれた。 かにかに島で私に…

11月27日

11月27日 祖父の五十日祭。 お墓の下に本当に遺骨が入ってるということを初めて知った。 あんな所で冷たくないのかな、それが率直な感想で、本当に祖父がどこか遠くに行ってしまったような気分だった。 出てこられないように閉じ込めてしまったような、とて…

おままごと

幼い頃よくやったおままごと。 故人へのお供え物が、おままごとのそれとよく似ていて、私はいつも虚しくなる。 消化器官、感情、言葉を持たないぬいぐるみの前に、取り分けたおもちゃのおかずを置いて「どうぞ召し上がれ」。 消化器官、感情、言葉を持たない…

11月1日

11月1日 久しぶりに雨が降った。 祖父が亡くなった日には降らなかった雨が。 「空が泣いている」とか「鼠色の分厚い雲は僕まで飲み込もうとしているようで」とかそんな悲愴的な雨ではなく、ただ、ぱらぱらと、現象としての雨だった。 遡ると10月12日、祖父が…